Yahoo買収劇の色々-壱
by Oliver Reichenstein. Average Reading Time: less than a minute.
マイクロソフトのスティーヴ・クレイトン氏はWeb Trend Mapのポジショニングにご不満なようです。Yahoo!に対する敵対心満々の買収猛攻のさなかですが、私たちはこんな、示唆に富んだやり取りをさせていただくことができました。
「iAチームの方々は、マイクロソフトがあまりお好きではないようです。しかし、Yahoo! の買収がすすめば、Trend Mapは少々時代遅れになってしまうでしょう。彼らは、Passportが落ち目なことでマイクロソフトが悩んでいるというようなことをお書きになっていますが、Passportは私たちにとってももはや過去のものです。今はWindows Live IDがきちんと機能していますから。こんなこと、Wikipediaでだって簡単に見つかる話じゃないでしょうか。いえ、違うのです、彼らは、私たちの3億8千万人のユーザーと、一日12億を超えるログイン数を無視して、ただ私たちに悪い話をでっち上げているのです。小バエです。 みなさん、私たちのLive Labsをどうぞご覧になってください。Seadragon, Photosynth, Deepfish, Windows Live Writer,それからPopfly, Silverlight、、 いかがでしょうか。その他彼らのこの安っぽい話にはいろいろ突っ込みたいところはありましたが、「たくさんのジョークや皮肉を込めたメッセージ」ということですから、そう受け止めてあげることとしましょう。でも、マイクロソフトが疲弊しきって落ち目だとおっしゃるなら、それは520億ドルを無視した大胆不敵なジョークです。 私は、彼らのマップ自体は評価しています。ただ、これがどのくらい現実に根ざしているのか、ということに疑問を投げかけたいのです」
彼らが反応したのは、TrendMapが公開されてずいぶん経ってからでした。予期していた反論が遅かったことに驚いたくらいです。 そして、私たちは以下のように返答させていただきました。
スティーヴ様
Mapが時代遅れになる、というお話、その通りです。
しかしながら、買収が成功したらそのときはYahoo!を×で消して、eBayをどこかに動かせばいいだけの話です。でも、どうぞ信じてください、私たちのTrend Mapでのマイクロソフトの位置づけは、ただのAppleファンの妄想なんかではありません。「マンモス企業を取り込むことは、オンライン・ビジネスで成功につながらない」ことをオンライン・ストラテジスト、そしてインタラクティブ・ブランド・コンサルタントとして私は確信しています。傾きつつあるYahoo!を買収したところで、ユーザーの怒りと大混乱に対処しなければならなくなり、Yahoo!衰退のスピードを加速させるだけです。(Flickrユーザーの反発に苦心されているでしょうから、すでにお分かりでしょう)
なんとかLive
あなたが色々がんばっておっしゃっていた中でも、これが一番面白くて、意味深な発言でした。
「Passportは私たちにとってももはや過去のものです。今はWindows Live IDがきちんと機能していますから」
そうですか。でも、私たちがそんなことも知らなかったとお思いです? いいでしょう。聞いてください。
- 貴社のオンライン・プロダクツについて話をさせていただく時いつも難しいのが、人々がすでによく知っている名前で話をするのか、貴社の壊滅的なリブランディング後のネーミングと、どちらを使うのかという問題です。Liveのリブランディングは、ありがちな、そして完全な失敗です。明らかに。
- ブランドがうまく言っているかどうかは、人々を見ていれば分かります。皆、未だにホットメール、メッセンジャー、そしてパスポートという名前で会話をしています。Liveというコンセプトが完全なる幻想だからです。
- だから、私たちは、古い名称で話をしているだけです。そして、普通の人々が分かる名前で会話をすることで、時間の節約をしているのです、、貴社のわけの分からないリブランディングの説明をしなくてもすむように。
マイクロソフト・ブランド
私たちは、Trend Mapのために、考えに考え、調べに調べ、注意深く作業を進めてきました。貴社が私たちと同じくらい慎重で、思慮深ければ、Yahoo!を買収しようとなんてしないでしょう。そんな必要を感じることもないはずなのです。私たちの意見をここで披露させてください。
- 貴社のブランド・コンサルタントの方々はこうはおっしゃらないでしょうが、でも、いつかはお分かりになるはずです。あのカリスマゲイツ氏が去ってから、貴社は常に最高レベルのブランド危機にあるのです。Liveの幻想が迎えている危機よりも、もっと深刻な。スティーブ・バルマー氏は、ゲイツ氏ほど人を惹きつけるパーソナリティはありません。ゲイツ氏は、違いました。優しげで、知的で、物静かなオタクで、多くの人に好かれていました。今貴社の抱えている問題とは、ブランドの裏を支える人物が単なる凶暴キャラだということです。
- バルマー氏のキレキャラは、もはや貴社の戦略やプロダクツのみならず、貴社のブランド自体にも響いてきているようです。
- そんな残念な人物を運転席に据えたままこれ以上の拡大を図れば、事態はさらに悪化するでしょう。
誠実なる防衛
ご自分の会社を守るために一生懸命になられるのは、よく分かります。私たちもやっていることですから。でも、またここで、もう一度やらせてください。お互い誠実に。
- 520億ドルのYahoo!買収話に、本当に納得されているのですか。
- これがGoogleに対抗するための必死の方策でないとしたら、何なのでしょうか。
- Liveのリブランディングをうまくいったと信じておられるのですか。
- 貴社のオリジナルのプロジェクトで誇れるものが一つでもありますか。
- HTML5ワークグループで、どうしてそんなにえばっているのですか。
もっと、誠実になってみましょうか。昨年、私たちは貴社がいつか、私たちのMapのスポンサーになることがあるかも知れないという話をしました。その時、私たちが何と書いたかご記憶にありますでしょうか。「なっていただくのは結構です。でも、あなた方にお金があるからといって、私たちはこの見通し暗い予測を変えるつもりはありません」
もう一つ
300を超えるウェブサイトを、あんな複雑な体系で管理するのは容易ではありません。そして、Trend Mapには間違いもあります。だからこそ、私たちは今回ベータ版を走らせることにしたのです。今のところ、貴社の評価とポジションにクレームがついたことはありません。私の知る限り、あなたが最初です。
少なくともこれで、多少考え直していただくことくらいは出来るでしょうか。
オリバーより
そしてまだ続く
以下のリンクから、まだ続いているGoogleとマイクロソフトの戦いの模様をごらんいただけます。最高に、エキサイティングです。
「マイクロソフトのYahoo!に対する敵対的買収策は世に大きな問題を提示することとなった。事態は、単純な企業間買収という金融上の話に止まらない。インターネット界全体に関わる理念-開放性と革新-の存続がかかった問題だ」
UPDATE1
GoogleがYahooのマイクロソフト撃退に協力を申し出る(英文記事)
UPDATE2
YahooがGoogleとの連携を検討か(英文記事)
UPDATE3
Googleが「反Yahoo」プランを旗揚げ(英文記事)
UPDATE4
マイクロソフトは「開放性を尊重する」ジェネラルカウンセル発言(英文記事)
「…これらの発言はマイクロソフトのジェネラルカウンセルから出たものであり、マイクロソフトとYahooの提携がインターネット全体にとって望ましくないという見解に向けられたものです:『マイクロソフトは開放性や革新、そしてインターネット上のプライバシーの尊重に尽力する。』マイクロソフトが?開放性を尊重?マイクロソフトはこれまで何年間にもわたって、開放性を破壊することに尽力してきている。そしてブラッド・スミスはこの戦略においては合衆国司法省も、消費者も敵に回して突き進んできた急先鋒的な存在だ。私はブラッドを高く評価しているが、この狡猾さは全くもっていただけない。そしてこの、マイクロソフトの狡猾さを世に問うGoogleの発言は、大変に的を得ています。
『マイクロソフトはPCの時と同じように、再び不適切で、非合法的な影響力を今度はインターネット世界全体に及ばせることができるのか。インターネットが競争と革新によって発展してきた中で、マイクロソフトは独占状態を打ち立てることに腐心し続けて来た。そして今、その支配を隣り合うマーケットにまで広げようとしている。』可能な話です。そして、チャンスはあるでしょう。マイクロソフトは現在Sharepointを使ってIT業界全体を囲い込もうとしています。マイクロソフトの使いなれた手法です。」
UPDATE 5:
Yahoo! に対する敵対的買収劇を考える (英文記事)
マイクロソフト元社員のロバート・スコーブル氏が、Googleの「真の意図」を明らかにしています。
Googleは、この一連の買収劇が長引くほど、得をする。一月遅れるごとに、何千万という額がGoogleのポケットに流れ込む。がんばりは認めましょう、ロバート。だた、どう表現しようとも、マイクロソフトは今回の買収で、だいぶ危うい立場になるでしょう。
OS独占状態、そしてOffice=ソフトウェア独占を打ち立てたマイクロソフトが、インターネット独占を狙っていることは、もう周知です。成功するかどうかはまた別の話ですが。
しかしもし、(この結果として)GoogleとYahooが戦略的に組むことにでもなれば、その日は、テクノロジーの歴史の中で「マイクロソフトのワーテルロー(つまり、マイクロソフト大負けの日)」として記録されることでしょう。
そして何もなくなった。自身のオンラインサービスの悲惨な成れの果ての他には。そうやってマイクロソフトはGoogleとのオンライン戦争に敗北するのです。確実に。「確実」という言葉が表現でき得る限りの確実さで。
今回のYahoo!に対する敵対的買収劇はマイクロソフト自身のブランドにすでに別の意味でも打撃となっているはずです。人々はこういったティラノサウルス級に暴力的な態度にもはやうんざりしています。そして、この買収が始まるたった一週間前には、マイクロソフトの元CEOであるビル・ゲイツ氏が「世界の貧困層を救うために『もっとやさしい資本主義』への掛け声を」(英語)あげていたというのですから、この会社がどれだけ非情で、異常かお分かりになるでしょう。
